女性
20代
30
プラチナ、ペアで12万円程
結婚をした当時はバブル景気真っ只中、猫も杓子もブランドモノを身に着けており、結婚指輪もブランドモノを付けている人が多かったです。
彼は「僕がお金を出してあげるから、ブランドモノにしよう」と言ってくれたのですが、彼の魂胆は分かっている、彼は面倒なことはしたくないタイプで、ブランドモノなら人に見られても恥を掛かないと思っている。
私は貧しい家庭で育ったため、母親はブランドモノを1つも持っていない、そんな母親にブランドモノの結婚指輪は見せられない。
同じ学校に通っていた彼は私の生い立ちを知っており、「結婚指輪は君に任せるよ」と言ってくれたのですが、彼の魂胆は分かっている、彼は面倒なことを避けたかっただけ。
困難を共に乗り越えられる人と一緒になりたかった私は、彼に結婚指輪を手作りすることを提案、すると彼は「それは良いアイデアだ」と言ってくれた、私の生い立ちを知る彼だから手作りに決められたのです。
同い年の旦那と結婚をしたのは入社3年目の時、3年目になると仕事は一通り覚えられ、任せられる後輩もいる。
その頃の彼は連日終電で帰宅、彼は仕事で遅くなったと言っていたのですが、彼が連日遊びまくっていることは私は知っていた、しかし、それも仕事の付き合いだと思い何も言いませんでした。
私と彼は学生からの付き合い、私が何も言わないのはブチ切れる前段階であることを彼は知っているから。
ここら辺りで挽回をしておかないとマズイと思ったのか、結婚指輪を手作りすることに彼は反対しませんでした。
彼は反対はしませんでしたが賛成もしていない、彼には優柔不断なところがあり、指輪を作る工房には何も告げず連れて行きました。
連日終電で帰宅する彼は挽回を図るために、頑張って結婚指輪を作ってくれた、それが私には嬉しかった。
30年が経っても思い出は色褪せない、手作りした結婚指輪も当時のまま輝いています。
彼は優柔不断な性格、彼の就職先や2人が同居するのに借りたアパートを決めたのは全て私。
彼の口癖は「好きにして良いよ」、これは私への信頼なのか、嫌違う、彼は単に面倒なことを避けたいだけ。
学生だった頃の彼は私だけを見てくれていた、しかし、就職をしてからの彼は私のことは放ったからしで遊びまくっている。
そんな彼と一緒になっても良いのだろうか?私が不安になるのは、両親が幼い時に離婚をしており、私と母親は貧しい生活をしてきたから。
彼が働いている会社は収入が良いだけあり同僚らの生活は派手で、身に着けているのはブランドモノばかり。
彼だけ手作りの結婚指輪では同僚らからバカにされないか私は気掛かり、また、手作りの指輪を彼が外さないかも心配でした。
当時は今ほどネットが普及しておらず、私も彼も自宅にはパソコンがありませんでした。
そのため、調べたい時は本屋さんを利用する、当時はバブル景気真っ只中、そのためプレゼントに贈るアクセサリーなどは頻繁に特集されており、結婚指輪のデザインを調べるには苦労しませんでした。
しかし、当時はブランドモノと言うだけで重宝された時代、そのためマガイモノも多く存在、結婚指輪のデザインを考えてもどうしてもブランドモノに寄って行ってしまう、すると完成した結婚指輪のデザインはマガイモノみたいでダサイ。
結婚指輪を作らせて貰うことになった工房には、デザインのサンプルがいくつも有り、殆どが素人でも作れそうなシンプルなデザイン。
様々な結婚指輪を参考にさせてもらうと、常に身に着ける結婚指輪は原点回帰したシンプルなデザインが良いとの結論に達し、面倒なことをしたくない彼は当然賛成してくれました。
当時はバブル景気真っ只中、そのため贈り物はブランドモノばかり、それが当たり前の時代でした。
そのため、結婚指輪を手作りすると知った友人らは、「どうして?」、「後悔しない?」、「お金無いの?」と否定的な意見ばかりでした。
結婚してから約30年が経った現在、見栄でブランドモノを付けていたカップルは別れ、手作りなどハートフルな結婚式を挙げたカップルは今も上手くいっています。
私が旦那と結婚をした30年ほど昔は、ブランドモノが重宝された時代、高価ではあってもブランドモノは既製品。
それに気付いたのは、バブルが崩壊してからのこと。
この30年で夫婦関係が上手く行かなくなった者は沢山いる、離婚したらブランドモノの婚約指輪や結婚指輪はどうなるのだろうと考えたことがあります。
ブランドモノの価値が落ちると、貴金属は素材(プラチナやゴールド)の価値だけ、ブランドモノであろうが手作りであろうが価値に大差はない。
それに気付いた者は、ブランドモノに興味を示さなくなったのですが、気付くのが遅かった。
人生、過ぎてみるとあっという間だった、若いとこのことには中々気付かないと思いますが、ある程度、歳を取ると誰もが思うこと。
夫婦や家族の価値は、夫婦や家族にしか分からないもの、お金さえあれば誰もが買える既製品には無い魅力や価値が手作りの結婚指輪にはあると思います。